パタンナーaridonのメモ帳

(株)インプルーヴでパタンナーやってます。

ニットの成型商品のまとめ方のコツ①

 

 

梅雨入りしましたね~。( ;∀;)

 

今年の梅雨空は期待を裏切らず、ど~んよりしていますね。

 

湿度も上がり、少し動くと汗ばむ季節となりました。

 

 

 

しかーし。

 

 

アパレルの商品企画や開発する私たちにとっては、

 

梅雨であろうと、真夏であろうと

 

季節に関係なく、企画中のサンプルチェックはやってくるわけです。

 

暑いときに秋冬物、寒い時に春夏物の企画をする。。

 

これ、アパレルあるあるかもしれませんね。(^^;

 

 

 

 

先日、

 

この2018年の秋冬物として納品予定の

 

インドの工場のオーガニックコットンのセーターの先上げ商品が

 

日本に届けられました。

 

 

先週は、2019春夏商品の1stパターン出しをしていたので

 

頭の中を ”秋冬もの” に切り替えての検品です。

 

 

 

 

 

通常、

 

一枚のセーターが店頭に並ぶまでに

 

少ない場合で、最低一回。

(一度のサンプルで本生産にGOするのは、うちではあまりないことですが)

 

 

今 私たちが携わっている、こちらのブランドでは3回~4回

 

サンプルを作って、修正すべき点などをチェックしています。

 

 

今回は、そのサンプルの中でも

 

本製品になる最後の段階でのチェックです。

 

 

 

デザインやパターンの修正点は

 

1stサンプルアップ時に済ませています。

 

1stサンプル~3rdサンプルで、ほぼ満足のいく商品に仕上がっていたのですが、

 

本製品を作る工場のラインでサンプル(Topサンプルと呼んでいます)を作ると

 

今まできれいに問題なくできていたことが

 

出来なくなっている。。ということが、ままあります。

 

 

 

【例】シンプルなタートルネックの衿リブ部分の編み出し。 

 

 

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赤丸で囲っている部分。

 

波打ったようにヘラヘラしていますよね。

 

リブの端がすっきりしていないと、全体の商品の印象が垢ぬけないものに

 

なってきます。

 

 

そして、こちらはオーガニックコットンの商品。

 

コットン商品は、着用回数が増えるにつれて 生地が柔らかくなることはあっても

 

洗濯の度にもとに戻ったりという

 

復元性の高い素材ではありません。

 

 

なので、店頭でお客様の目に触れる 商品として出来上がった時が

 

満足のいくパーフェクトな状態でないとよくないのです。

 

 

こちらのリブの端の状態。。

 

一番端のループ目(編み目)が、それより内側の目の大きさに比べて

 

一回り大きくなっていますね。

 

 

これは たぶん、編みだしの目を作るときに使う

 

「抜き糸」が太すぎるために、このようになっているのだと思います。

 

なので、このサンプルに使用している抜き糸を

 

もう一回り細い規格のものを使ってもらうように指示しないとダメですね。

 

 

あと、抜き糸が太すぎると、最後の仕上げに糸を抜くときに

 

ループ目に引っかかって

 

その部分が伸びたりして綺麗なしあがりになりませんね。

 

そういう意味でも、抜き糸の太さや素材は

 

重要なのだと思います。

 

 

 

 

 

 

【例】ガーター編みの脇の接ぎ部分

 

 

 

次に目がいったのが

 

2段ガーター編みのセーターです。

 

3rd SPLまでは身頃の脇線は、比較的にすっきりと仕上がっていたのに、

 

Top SPLでは、表側から見ると ガタガタになってました。

 

 

その理由は、パーツの接ぎ(リンキング)にあるとみて、ひっくり返してみると。。。。

 

 

3rd SPLとの違いが明らかに。。

 

 

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皆さんは、この違いが判りますか?(^^;

 

 

 

①パーツの端のすぐ横をリンキングしている

 

②パーツの端~0.5㎝程内側をリンキングしている

 

 

 

表からみて綺麗に仕上がっていた 3rd SPLの接ぎは、

 

どちらのほうかお分かりですか?

 

 

。。。。。。

 

 

 

 

答えは、② です。

 

 

ガーター編みのように、組織が凸凹になっているものは、

 

天竺組織のように平坦な編み地と違い

 

編み地の端まで凸凹と歪んでいることが多いです。

 

ですから、編み地の端でリンキングをしてしまうと、

 

その端の歪みの影響を、接ぎ線にもろに受けてしまうことが多いのです。

 

ケーブル編みのセーターで、端までケーブル柄が入っているものも同様のことが言えます。

 

その場合は、編み端から少し内側に入った場所でリンキングする方が

 

表側から見た場合に、すっきりとまっすぐに仕上がります。

 

 

 

同じ様に編まれたパーツでも、

 

接ぎ方一つ異なれば、商品の仕上がりに大きく影響してきます。

 

リンキングも特殊なニットの工法の一つといえると思います。

 

 

 

 

 

そして、この写真のリンキング目。。

 

少し特殊なマシンで 日本では同じものは見かけないのですが、

 

二本の糸が交差するようにステッチされていくので

 

ガッチガチに留まってしまうという。。。(泣)

 

ものすごく硬くて頑丈なリンキングなのです。。

 

 

この、インドの特殊なリンキングマシンについては、

 

またの機会にお話しできれば! と、

 

思います。

 

 

 

 

お客様に届く前の、最後のサンプルは、

 

このように、縫代をひっ繰り返したりしつつ

 

細かくチェックしていってます。

 

 

この修正が、現場の工場に理解してもらえますように

 

今日も頑張りますね!

 

 

 

#ニット商品 #ニットサンプル #リンキング #セーターができるまで