パタンナーaridonのメモ帳

(株)インプルーヴでパタンナーやってます。

分解して初めてわかる事もある

現在 修正中の2019年AWの一点サンプル。

インドの工場で作製5GG(ゲージ)の羽織風カーディガン。

 

思い切りドロップショルダーなので、小肩巾も広いです。

 

 

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ノーカラーの釦レスのカーディガンですが、

 

なーんか、前から見たときに前身頃の分量も貧相で

ネック周りも身頃が痩せて見えて、よろしくないな。と思ったんです。

 

後ろから見ると、

 

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小肩線がメッチャつれている。。

美しくないし、

着用してみると、小肩線が身生地と共に自然に伸びないので

着心地が悪い。。

 

さぁ、困った。

 

多分、リンキングの伸びが無く硬くて、そのせいなんだろうなぁ、と

インドの工場で使用しているリンキング機は、

日本のものと違って、二方向から刺し目を作る複雑な機械なのです。

で、めちゃくちゃ伸びが悪い。

 

 

でも、本当にその理由か調べてみなければ。

 

ということで、小肩のリンキングを解いてバラバラにしてみましたよ。

 

そうするとですね。

 

もちろん小肩のリンキングがきついのは当然なのですが、

 

なんと!

前身頃の身巾が、パターンより全然狭く上がってた!というのが発覚しました。^^;

 

前身巾が狭いということは、前小肩巾も狭くなり。。

 

後小肩巾≠前小肩巾であり、後小肩巾≧前小肩巾になってたのです。

 

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こんな感じで、前端からの分量が減っていて、前小肩巾も衿(前立て)分くらい少ないです。

 

なので、前肩を引っ張ってリンキングするために

上の写真のように、後肩辺りが余って吊れてるように見えてたんですね。

うーーーん。

 

 

 

ということで、不足の部分を補って

果たして、元の欲しい形に戻るのか?を検証しなければいけません。

 

5GGの編地はなかったので、シーチングを足してみました。

伸び分が違うので、少し突っ張った感じに見えますが

そこは、少しご勘弁を。。

 

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パターン上では、これくらい不足してました。

 

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そうなるとですね。

 

さっきまで、リンキングのせいで100%吊れていた小肩線が…

まぁ、なんということでしょう!!

 

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吊れたよう見えませんね~~~。

 

これはシルクピンで簡単に留めてるだけなんですが、

その状態でも、自然な小肩線に見えますね!

 

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そして、1stサンプルでは、後繰りが深く感じて

 

後ろ側に抜けて?見えていて

 

いっそ後繰りを上げたほうがよいのかな?って思ってたんですが

 

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(左身頃のままだと、↑このボディの隙間が開いてる分量足りなく感じる)

 

 

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肩線を正しく戻したら

 

やはり最初の後下がりでOKになりました。

 

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前小肩巾を戻すことによって

 

前身頃が天巾に引っ張られることが無いので

 

アームホールも体から離れて袖周りもゆったりして着易くなりました。

 

 

1stサンプルを着用した印象では、

アームホール底を1cm下げて、もう少し袖周りをゆったりさせたいな、って

感じだったのが、すべてクリアーになりました。

 

やった!笑

 

 

ということで、この商品に関しては

 

前身頃の不足部分(シーチング)を足すことと

 

リンキングのテンションを出来る限り緩めることの修正事項で

 

まとめようと思います。

 

 

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